健康な木に、必要な養分を適量補います。肥料を選び、時期と木の状態を確かめ、表示量を守って与えましょう。しおれや急な落葉がある木は、施肥より原因の確認を優先します。
肥料の成分と働き
肥料は、枝葉や根、花や実の生育に必要な養分を補うために与えます。袋のN・P・Kは窒素・リン酸・カリを表し、数字は含まれる成分の割合です。まず、それぞれの働きを押さえましょう。
| 表示・成分 | 主な働き | 不足・過剰を疑う前の注意 |
|---|---|---|
| 窒素(N) | 葉や枝の生育を支える | 多すぎると枝ばかり伸びやすい。日照不足でも同じように徒長する |
| リン酸(P) | 根、花、実の生育を支える | 花が咲かない原因は樹齢、日照、剪定、受粉などもある |
| カリ(K) | 水分調節や木の充実を支える | 葉先枯れは水切れ、根傷み、強風でも起こる |
| 苦土(Mg) | 葉緑素の材料。葉の緑を保つ | 古い葉の葉脈間が黄化する場合に候補となるが、根詰まりやpHも確認する |
| 微量要素(鉄・マンガン・亜鉛・ホウ素など) | 少量で新芽、葉、花などの生育を支える | 必要量はごく少ない。単独資材を自己判断で重ねると過剰障害が起こり得る |
肥料の種類と選び方
肥料を選ぶときは、効く早さと持続期間、含まれる成分、与え方を確認します。主な種類と、オリーブに使う際のポイントを紹介します。
化成肥料・有機質肥料の違い
| 種類 | 特徴 | 鉢植えで気をつけること |
|---|---|---|
| 化成肥料 | 化学的な製造工程を経て複数の肥料成分を含ませた肥料。成分量を把握しやすく、速効性も緩効性もある | 『化成=強すぎる』『化成=すぐ効く』ではない。成分濃度と表示量で判断する。 |
| 有機質肥料 | 油かす、魚かす、骨粉など動植物由来の原料を使う。多くは分解されてから養分が利用される | 有機質でも多すぎれば根傷みの原因になる。原料や環境によって臭い、カビ、虫が生じるため、ベランダでは置き場所も考える。 |
| 有機入り肥料 | 有機質原料と無機質の肥料成分などを組み合わせた製品。成分と効き方は商品ごとに異なる | 『有機入り』だけで安全性や持続期間を判断せず、保証成分と使用方法を読む。 |
速効性・緩効性・遅効性の違い
| 種類 | どのように効くか | 使い方と注意 |
|---|---|---|
| 速効性肥料 | 水に溶けて利用される成分が比較的早く効く。液体肥料や速効性の化成肥料など | 生育中の追肥に使う。濃度や量を増やすと根を傷めるため、希釈倍率と間隔を守る。 |
| 緩効性肥料 | 肥料成分が少しずつ利用され、一定期間効き続ける。被覆したもの、溶けにくい成分を使ったものなどがある | 元肥または置き肥など、製品の指定に合わせる。長く効く製品ほど、残っている間の追加施肥に注意する。 |
| 遅効性肥料 | 施してから効き始めるまでに時間がかかる。有機質肥料の多くは微生物による分解を経て利用される | 気温や水分で効き方が変わる。まだ効いていないように見えても、短期間に追加しない。低温期は分解が進みにくい。 |
固形肥料と液体肥料
| 種類 | 使い方 | 注意 |
|---|---|---|
| 固形肥料 | 置き肥用は土の表面へ置き、元肥用は表示に従って土へ混ぜる。速効性も緩効性もある | 効く期間を表示で確認し、残っている間の追加量に注意する |
| 液体肥料 | 希釈用は表示倍率に正確に薄める。そのまま使う製品は薄めず、指定された間隔で与える | 濃くしない。乾き切った根や弱った木へ与えない |
元肥と追肥を分けて考える
元肥は植え付け・植え替え時に土へ入れておく肥料、追肥は生育中に後から与える肥料です。市販培養土には元肥入りの商品があり、購入苗の土にも肥料が残っている場合があります。
| 使う土・苗 | 植え替え時の判断 | その後 |
|---|---|---|
| 元肥入りと表示された培養土 | 別の元肥を追加しない | 表示された持続期間が過ぎ、木が生育してから追肥を判断 |
| 元肥なしの用土 | 使う肥料が植え付け・植え替え時に使用できるか製品表示を確認 | 使用できる場合だけ表示量を土へ均一に混ぜる |
| 購入苗で施肥歴が不明 | 元肥や追肥を追加せず植え替える | 新芽が動き、土が通常の速さで乾いてから追肥を検討 |
| 根腐れ・根傷みがある | 元肥を入れない | 新しい根と新芽の回復を確認するまで追肥しない |
オリーブに使う肥料の選び方
普段の管理には、少しずつ長く効く緩効性肥料が使えます。生育中に短い間隔で量を調整したいときは液体肥料を選びます。植え付け時は元肥用、土の表面に置くなら置き肥用を使います。
| いつ使うか | 使う肥料 | 与え方 |
|---|---|---|
| 元肥の入っていない土に、元気な苗を植えるとき | 元肥用の緩効性肥料 | 植え付け時に使える製品を選び、表示量を土へ均一に混ぜます。元肥入りの培養土なら追加しません。 |
| 元気に育っている鉢植えに、普段の肥料を与えるとき | 置き肥用の緩効性肥料 | 鉢の大きさに合う表示量を土の表面に置きます。次に与える時期は、その製品の使用間隔に従います。 |
| 生育中に、肥料の量や与える間隔をこまめに調整したいとき | 液体肥料 | 薄める製品は表示倍率に薄め、指定の間隔で与えます。固形肥料が効いている間は、液肥を一回分そのまま上乗せしません。 |
| しおれ、急な落葉、根傷みがあるとき | 肥料を与えない | 土が乾いていれば水を与えます。土が湿っているのにしおれる場合は追加の水や肥料を止め、排水や根の傷みを調べます。 |
季節ごとの施肥の目安
関東平地の目安です。春・初夏・秋は、枝葉が育つ時期に肥料を与えます。ただし、前に与えた肥料の使用間隔が過ぎていなければ追加しません。月だけで決めず、次の表で木と土の状態も確認します。
| 季節 | 与えるか・待つか | 与えるタイミング |
|---|---|---|
| 春(3~4月ごろ) | 新芽が伸び始めたら与える | 寒さが続き、新芽が動いていない間は待ちます。 |
| 開花後~初夏(5~6月ごろ) | 枝葉や幼果が育つ時期に与える | 前回の施肥から、その製品の使用間隔が過ぎていれば追肥します。肥料が効いている間は追加しません。 |
| 真夏の高温期 | 追加の肥料は控える | 暑さによるしおれに、肥料を足して対処しません。 |
| 秋(9~10月ごろ) | 暑さが収まり、新芽や枝が再び伸びたら与える | 前の肥料が効いている間や、生育が止まっている場合は追加しません。 |
| 冬の生育が止まる時期 | 基本は与えない | 春に新芽が伸び始めるまで待ちます。 |
今、肥料を与えてよいか
季節が施肥に向いていても、水切れや根傷みがある木には与えません。下の『与える』は、前回の施肥から製品指定の間隔が過ぎていることが前提です。
| 判断 | 木と土の状態 | すること |
|---|---|---|
| 与える | 新芽や枝が伸び、急なしおれ・落葉がなく、水やり後の土も徐々に乾く | 鉢や木の大きさに合う量を与えます。元肥や置き肥がまだ効いている場合は上乗せしません。 |
| 待つ | 土の中まで乾き、水切れでしおれている | まず水を与えます。しおれが戻り、生育が再開してから施肥します。 |
| 待つ | 植え替えで根を切った・崩した直後、または購入苗の施肥状況が分からない | 追加せず、新芽の伸びと土の乾きが戻るのを待ちます。元肥を入れていれば、その使用間隔より早く追肥しません。 |
| 与えない | 土が湿っているのにしおれる、土が長く乾かない、腐ったような臭いがする | 追加の水と肥料を止め、受け皿の水・鉢底の排水・根の傷みを調べます。 |
| 与えない | 黄葉・しおれ・落葉が急に増えた、施肥後に葉先が枯れた | 肥料を足さず、水切れ・根傷み・肥料焼け・害虫の有無を調べ、原因を処理します。 |
鉢植えと地植えの違い
| 育て方 | 与える位置と注意 |
|---|---|
| 鉢植え | 鉢の直径に対応する表示量を守り、固形肥料は株元を避けて鉢の縁寄りへ数か所に分けます。幹や露出した根へ直接触れさせません。 |
| 地植え | 株元へ山盛りにせず、吸収を担う細根が広がる枝先の真下付近を目安に、円周上へ分けて施します。元気な成木では施肥が不要な場合もあります。 |
見る場所と作業の模式図です。実物の形・色・大きさには違いがあります。
幹のすぐ近く
株元へ山盛りにせず、幹や露出根へ触れさせない
鉢の縁寄りへ分ける
土の表面数か所に、表示量を均等に置く
枝先の真下付近へ
根の先端と細根が広がる範囲を目安に分散
量を間違えない手順
- 1
製品表示を読む
対象植物、鉢の直径または木の大きさ、1回量、使用間隔を確認します。
- 2
一種類だけ量る
付属スプーンや計量器を使い、目分量や一握りで増やしません。
- 3
根の先端付近へ分ける
鉢は縁寄り、地植えは枝先の真下付近を目安にし、株元を避けて数か所へ分散します。
- 4
記録する
日付、製品名、量を書き、次回は表示された間隔より早く追加しません。
苦土・微量要素を補うとき
葉が黄色いだけでは不足成分を決められません。成分が土にあっても、根傷み、過湿、低温、土のpHによって吸収できないことがあります。新しい葉か古い葉か、葉脈まで黄色いか、木全体か一部かを確認し、土の乾湿と根詰まりを先に調べます。地植えで同じ症状が続く場合は、土壌pHや土壌分析を確認してから補正します。
- 1
葉を見分ける
新葉・古葉、葉脈・葉脈間、木全体・一枝だけのどこに出ているか確認し、原因候補を絞ります。
- 2
根と水を確認する
鉢の重さ、土が乾くまでの日数、鉢底穴、異臭を確認します。
- 3
使った肥料を確認する
肥料袋のN-P-K、苦土、微量要素の表示と、施肥日・量を記録します。
- 4
必要な場合だけ補う
葉分析などで不足と補給量を確認し、必要な成分だけを表示に従って補います。複数資材を同時に足さず、新しい葉と生育を観察します。
与えすぎた可能性があるとき
肥料の濃度や量による根傷みを疑い、追加施肥を止めます。
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