発見したら最初にすること
- 1
虫と被害を見分ける
幹元の穴・木くず、葉のかじり跡・糸、枝の白い付着物、葉裏、土の中など、被害の場所を確認します。下の症状別案内や虫の図と見比べてください。
- 2
周囲への広がりを確認する
隣の木にも同じ虫や被害がないか見ます。鉢植えで虫の移動が疑われる場合は、枝葉がほかの木に触れない場所へ離します。
- 3
安全に取り除けるものから対処する
虫の種類に合う方法で、幼虫・巣網・被害枝葉などを取り除きます。具体的な方法は各項目の「対処と確認先」を開いて確認します。イラガ類など、危険な虫には素手で触れません。
- 4
原因が分からないまま薬剤を重ねない
虫が見つからない場合は、水切れや根の傷みなども確認します。肥料・活力剤・別の農薬を次々に追加せず、原因に合う対処を選びます。
SYMPTOM FINDER
症状から探す
見えている被害から、原因と対処を確認してください。
枝に白いフワフワ・産卵痕がある
枝の白い付着物と樹皮の傷を見て、産卵痕かどうかを確認します。
見分け方と対処を見る →幹元に穴や木くずがある
幹を加害する虫を疑い、早く被害範囲を確認します。
見分け方と対処を見る →葉や枝がべたつき、黒く汚れる
カイガラムシ類などの吸汁性害虫と、すす状の汚れを確認します。
見分け方と対処を見る →葉に細かな白い点や糸がある
高温・乾燥時に、葉裏へ非常に小さなハダニ類が付くことがあります。白い点状の色抜け、葉裏の細い糸、動く小さな粒をルーペで確認します。
- 鉢植えは周囲の株から離す
- 葉の表裏を見て、細かなかすれと虫の有無を確認する
- 葉にたまったほこりを落とし、極端な乾燥を避ける
- 数日後に新しい葉へ広がるか確認する
- 広がる場合は対象害虫に登録のある薬剤を確認する
葉が巻く・穴が開く・ふんがある
巻いた葉の中、葉裏の幼虫、糸、ふんを確認します。
見分け方と対処を見る →株元から木がぐらつく
幹に軽く触れたとき、木全体が株元から不自然に揺れる場合は、コガネムシ類の幼虫による根の食害などを疑います。幼虫は通常、鉢土の中にいて外からは見えません。
見分け方と対処を見る →葉に丸い斑点が広がる
病害、薬害、葉焼けを広がり方から見分けます。
見分け方と対処を見る →実が褐色に腐る
果実の病害や傷みを疑い、傷んだ実を放置しません。
見分け方と対処を見る →PEST FINDER
農園で見かける虫と、注意する害虫
Harmonyの農園で見かけた虫を中心に、栽培で注意するものを合わせた10項目です。農園で見かけたことと、オリーブへの加害を確認したことは分けて扱います。発生の多さは地域や栽培環境で異なります。図は特徴を伝える模式図で、種類や大きさの正確な同定には使えません。各項目の参考写真と、実際の被害を併せて確認してください。
オリーブアナアキゾウムシ
成虫と、幹の中の幼虫
成虫は暗褐色で長い口先。幹元に新しい木くずや穴があり、樹皮の内側を幼虫が食べる。
対処と確認先
対処の手順
- 新しい木くずを除いて食入孔を探し、届く幼虫は細い針金などで捕殺する。
- 健全な樹皮を広く削ったり、孔を無理に広げたりしない。
- 穴への薬剤処理には、オリーブアナアキゾウムシの食入孔への噴射に登録のあるロビンフッドなどを使う。
- 再発を防ぐには幹元の草・落ち葉を除き、成虫を見つけ次第捕殺する。
- 成虫の発生・産卵期に合わせ、登録薬剤を表示どおり散布して食入前の防除を行う。
- 果実用と葉用では使用条件が異なる。
ハマキムシ類・マエアカスカシノメイガ
被害を出すのは幼虫
葉を糸で巻く、数枚をつづる、新芽が食べられる。内部に幼虫やふんがある。種の特定は葉の巻き方だけではできない。
チュウゴクアミガサハゴロモ
まず枝の白いフワフワと産卵痕を確認
細い枝に白い綿状のフワフワが帯のように付く場合は、産卵痕を確認する。白いものは卵そのものではなく、産卵部を覆うろう物質で、卵は傷を付けられた枝の中にある。動いて跳ねる白いフワフワは幼虫の場合がある。
対処と確認先
卵を残さない対処
- 白い部分と枝の傷を見て、産卵痕を確認する。
- 産卵痕を含む枝を、清潔な剪定ばさみで切り取る。
- 切った枝は回収し、市町村の分別に従って処分する。庭や堆肥置き場へ放置しない。
- 周囲の枝と近くの木も点検する。冬は卵の状態で枝に残るため、成虫がいなくても確認する。
白い被覆をこする・水で流すだけでは卵を除去できません。
産卵枝の写真と処分方法(山梨県) ↗コガネムシ類の幼虫
鉢土・地中にいる幼虫
白っぽいC字形の体に褐色の頭と胸脚。根が減り、湿った土でもしおれる、株元がぐらつく場合がある。
対処と確認先
対処の手順
- 土が湿っているのにしおれる、株元が不自然にぐらつく、給水しても回復しない場合は、鉢から根鉢をそっと抜き、根の食害と幼虫を確認する。
- 見つけた幼虫を取り除き、根鉢の中に残っていないか確認する。
- 根が減っている株は支柱で固定し、残った根を傷めず植え直す。
- 近くの鉢にも同じしおれやぐらつきがないか点検する。
スズメガ類
葉を食べる大きな幼虫
大きなイモムシと粗いふん。多くの種類の幼虫はお尻に角状の突起がある。葉が短期間に大きく減ることがある。
対処と確認先
対処の手順
- ふんの落ちている上側の枝と葉裏を探す。
- 見つけた幼虫を取り除く。
- 周囲の枝葉にも幼虫が残っていないか確認し、その後、新しい食害やふんが増えていないか点検する。
イラガ類(デンキムシ)
毒のあるトゲを持つ幼虫
短く厚みのあるナマコ形の体に、細かな毒のトゲを持つ突起が密に並ぶ。図は黄緑色の体と褐色の背中の模様があるイラガの幼虫の例。仲間によって色・模様は異なり、葉裏に集まるものや単独で葉を食べるものがいる。
幼虫やまゆは素手で触らない。
果樹カメムシ類
主に果実を吸汁する虫
盾のような形の虫。実に口を差し込んで汁を吸い、実がへこんだり、いびつになったり、落ちたりすることがある。実の外見だけでは原因を見分けにくいため、実やその周りにカメムシが付いていないかを見る。
対処と確認先
対処の手順
- 果実や果房に付いているカメムシを見つけたら、捕まえて取り除く。
- 飛来が続くため、その後も果実の周囲を点検する。
- カメムシが繰り返し付き、取り除いても実のへこみや変形が増える場合は、オリーブとカメムシ類への登録がある薬剤で防除する。
カイガラムシ類
枝や葉に付着する幼虫・成虫
動かない粒や殻、白い綿状の虫体。種類によっては甘露でべたつき、黒いすす状の汚れやアリが増える。甘露を出さない種類もいる。
対処と確認先
対処の手順
- 枝や葉に付いた虫を、柔らかいブラシなどでこすり落とす。
- 樹皮や葉を傷つけない力で行う。
- 虫が密生して取り除きにくい小枝は切り取り、回収して処分する。
- その後も枝と葉裏を点検し、小さな幼虫が再発して取り切れない場合は、オリーブと対象のカイガラムシへの登録がある薬剤を、ラベルの使用時期に合わせて使う。
アメリカシロヒトリ
農園で見かけた虫/被害を出すのは幼虫
幼虫は黒い頭、淡黄色の体と背中の黒い模様、長い白い毛が目印。若い幼虫は枝葉を白い糸の巣網で覆い、集団で葉を食べる。成長すると分散する。少数の葉を巻くハマキムシ類と見比べる。
対処と確認先
対処の手順
- 幼虫が巣網の中に集まる早い段階で、届く範囲の枝葉を巣網ごと切り取り、袋の口を閉じて回収する。
- 自治体の分別に従って処分する。
- 分散した幼虫も葉裏や周囲の枝で確認し、届く範囲で取り除く。
- 農薬を使う場合は、実際に被害を受けた樹種と対象害虫への登録を確認する。
ハダニ類
葉裏の微小なダニ
葉に細かな白いかすれ。葉裏を拡大すると微小な個体や卵が見える。種類や発生量によって糸が見えることもある。
対処と確認先
対処の手順
- ハダニが付いた葉の裏にシャワーで水を当て、個体と糸を洗い落とす。
- 数日後に葉裏を見て、残った個体や新たにふ化した個体がいれば、もう一度洗い落とす。
- 数が減らず新しい葉にも被害が広がる場合は、オリーブとハダニ類への登録がある薬剤を葉裏まで散布する。
- 白くかすれた葉の色ではなく、生きたハダニが減り、新しい被害が止まったかで効果を見る。
薬剤は、虫の種類を確かめてから「オリーブ」と対象害虫への登録を確認します。似た虫への薬剤や、ほかの果樹の希釈倍率をそのまま使いません。イラガ類など、触れると危険な虫は素手で捕まえないでください。
農薬を使うときの確認
商品名だけで選びません。使用当日に製品ラベルと農林水産省の農薬登録情報を照合します。
- 作物名に「オリーブ」またはオリーブを含む作物群「果樹類」がある
- 個別の「オリーブ」登録がある製品は、その個別条件を優先する
- 見つけた害虫・病気が対象欄にある
- 希釈倍率または使用量を守る
- 使用時期と収穫前日数を守る
- 有効成分を含む薬剤の総使用回数を守る
- 手袋など指定の保護具を使い、風の強い日は散布しない
- 実や葉を食用にする場合は利用部位まで確認する
対処できたかを判断する
| 確認時期 | 回復・収束の目安 | 続けて調べる状態 |
|---|---|---|
| 3~7日後 | 虫、木くず、ふん、新しい食害が増えていない | 新しい葉や別の枝へ被害が広がる |
| 1~2週間後 | 新芽が動き、急なしおれや落葉が止まる | 土が湿るのにしおれ、枝枯れが進む |
| その後も毎週 | 幹元、葉裏、鉢土に再発がない | 同じ害虫が再び見つかる |
鉢植えでコガネムシ類の幼虫を確認した実例
Harmonyで育てるアルボサナでは、実の萎れ、葉の丸まり、葉色の変化、株元の揺れが重なり、鉢内からコガネムシ類の幼虫を6匹確認しました。発見時の写真、対処、その後に新芽が動くまでを記録しています。
判断に迷う場合の補足:写真・記録の使い方
毎回の撮影や記録は必須ではありません。自分で見分けにくいときや、対処後の変化を比較したいときに使います。
- 虫の種類を調べる:虫を拡大して撮り、公的機関の写真資料と見比べます。体の模様や脚、被害を受けた部位も合わせて見比べます。
- 被害が止まったか比べる:対処前と数日後の同じ枝・葉を比べ、新しい食害や枯れ込みが増えていないか確かめます。
- 原因を絞る:症状が出た時期と、直前の水やり・施肥・散布を照合し、乾燥・過湿・薬害などの候補を見比べます。